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   らんそうきのうていかしょう
卵巣機能低下症                           

初診に適した科

[婦人科] [産婦人科]

どんな病気か

 卵巣機能が早期に低下する病態で、早期卵巣不全(そうきらんそうふぜん)と呼ばれることもあります。極端な場合は、早期に閉経となる場合があり、43歳未満で閉経になるものは早発閉経(そうはつへいけい)と呼ばれています。
 一方、このような状態で卵巣が排卵する能力を完全に失っているかというと、必ずしもすべての人がそうではありません。卵巣に卵胞(らんぽう)が存在して排卵を誘発することが可能な場合と、卵巣に卵胞が残存していない場合とに分類され、前者をゴナドトロピン抵抗性卵巣症候群、後者を早発閉経とする考え方もあります。

原因は何か

 ほとんどの場合、原因は不明です。
 先天的に染色体異常があり、そのために早期卵巣不全になる人が多いことや、甲状腺や副腎(ふくじん)、筋肉などに対する自己免疫性疾患(甲状腺機能亢進症、アジソン病、重症筋無力症(じゅうしょうきんむりょくしょう)など)をもつ人に多いことが知られています。とくに、自己免疫性疾患と早期卵巣不全との合併がよくみられることから、早期卵巣不全が卵巣に対する自己免疫性疾患である可能性が考えられています。
 また、卵巣や卵巣の周囲の手術、放射線や抗がん薬の化学療法などによって早期卵巣不全になったり、それ以外の薬剤によっても卵巣機能の低下につながることがあります。
 嗜好品と卵巣機能の低下との間にも関連性が考えられており、とくに喫煙によって卵巣機能の低下が起こるとされています。


 らんそうしゅよう
卵巣腫瘍

初診に適した科
[婦人科] [産婦人科]


どんな病気か

 卵巣は子宮の左右両側にひとつずつあり、通常は直径2〜3cm程度の大きさです。卵巣と子宮をつなぐ役割をしているのが卵管です。この卵巣にはれが生じた状態を卵巣腫瘍といいます。多くは卵巣の片側に発生しますが、両側に発生することもあります。
 卵巣腫瘍は、ほかの臓器に発症する腫瘍に比べて非常にたくさんの種類があります。大きく2つに分類すると、嚢胞性(のうほうせい)腫瘍(いわゆる卵巣嚢腫(のうしゅ))と、充実性(じゅうじつせい)腫瘍に分けられます。
 また、卵巣腫瘍は臨床経過に応じて、良性、悪性、境界悪性(良性と悪性の中間的なもの)の3群に分類されます。一般的に、嚢胞性腫瘍は臨床経過としては良性のことが多く、充実性腫瘍は約75〜80%程度が悪性もしくは境界悪性腫瘍です。

●卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ)(嚢胞性腫瘍(のうほうせいしゅよう))
 卵巣のなかに、液体成分がたまってはれている状態の腫瘍です。婦人科臓器に発生する腫瘍のなかで、子宮筋腫(しきゅうきんしゅ)と並んで最も発生頻度が高い腫瘍のひとつです。
 ほとんどが良性です。しかし、卵巣はおなかのなか(腹腔内)の臓器であるため、正確には手術で摘出して病理検査(顕微鏡で腫瘍を構成する細胞の顔つきから良性か悪性かを判断する検査)をしてみないと、絶対に良性であるとは断言できません。
 卵巣嚢腫にはいくつかの種類があり、以下、代表的なものについて概説します。

●漿液性嚢胞腺腫(しょうえきせいのうほうせんしゅ)
 嚢胞内部に黄色い透明な液体がたまる腫瘍で、卵巣嚢腫の約25%を占めます。球形の手のこぶし大ほどの大きさで、縮小しないことが特徴です。

●粘液性(ねんえきせい)嚢胞腺腫
 嚢胞内部にネバネバした粘液がたまる腫瘍で、卵巣嚢腫の約20%を占めます。
 この腫瘍の特徴は、しばしば巨大化し、おなかのなかで嚢胞が破れ、内部の粘液がおなか全体に広がることです。この病態を腹膜偽粘液腫(ふくまくぎねんえきしゅ)と呼びます。腫瘍の一つひとつの細胞は良性ですが、破れることで腹膜炎を起こし、死亡することも少なくありません。

●成熟嚢胞性奇形腫(せいじゅくのうほうせいきけいしゅ)
 嚢胞内部に皮脂、毛髪、歯、軟骨などを含んだ腫瘍で、大きさは通常、直径10cm以下で、卵巣の両側に発生することもあります。良性の卵巣嚢腫のなかで最も頻度が高く、その半数以上を占めます。
 大部分は20〜30代に発生します。そのため、妊娠中に発見されることもよくあり、その場合は妊娠初期に手術を行います。また、嚢胞内部に皮脂、毛髪などを含んでいるため、腹部X線検査でこれらが写って発見されることもあります。
 若い年代に発症したものは良性のことが多いのですが、高齢の場合は悪性に変化していることがあります。そのため、若い時にこの腫瘍が発見された場合は、手術による摘出か定期的な検査を受けることがすすめられます。

●充実性腫瘍(じゅうじつせいしゅよう)
 充実性腫瘍には、腫瘍全体が充実成分(固形成分)で占められている腫瘍と、腫瘍の一部に充実成分があり、それ以外の部分を液体成分が占めているものがあります。
 この腫瘍には、良性のものと悪性の卵巣がんがあります。前述したように、卵巣嚢腫がほぼ良性であるのと異なり、この腫瘍では悪性の割合が高くなります。
 良性の腫瘍と悪性の卵巣がんのちょうど中間の性質をもっている境界悪性は、通常は確実に摘出してしまえば生命に関わることはありませんが、ごくまれに再発することがあります。
 これに対して卵巣がんは、初期の場合なら完治率も改善傾向にありますが、進行した場合は依然再発率も低くなく、治療に苦慮することがあります。卵巣がんの特徴として、おなかに水がたまる腹水とそれによる腹膜播種(はしゅ)という転移形態をとることも、治療を困難にしている原因のひとつです。
 現在でも卵巣がんの生命予後は、進行期にもよりますが、厳しいとされています。近年、日本でも、生活様式や食生活の欧米化に伴って卵巣がんが増加傾向を示しています。

原因は何か

 卵巣腫瘍は非常に種類が多く、その発生原因も多岐にわたります。
 たとえば、良性の卵巣腫瘍のなかで最も発生頻度が高い成熟嚢胞性奇形腫は胚(はい)細胞腫瘍と呼ばれ、胎児が発生する段階の細胞が卵巣の内部で腫瘍を形成したものです。
 また、子宮内膜症性(しきゅうないまくしょうせい)卵巣嚢腫は、卵巣の内部で子宮内膜が増殖して、月経周期に一致して出血を繰り返し、卵巣のなかに月経血が毎月たまることで発生します。
 悪性の卵巣腫瘍である卵巣がんは、通常、ヒトの体をがんから守るはたらきをする物質をつくるための鋳型(いがた)である遺伝子(がん抑制遺伝子)の異常によって発生すると考えられています。
 このような遺伝子の異常が原因で発生するがんには、ほかに乳がん、大腸がんなどがあります。肉親にこれらのがんにかかった人がいる場合は、卵巣がんのリスクが高くなり、家族性卵巣がん・乳がんなどの家系があることも知られています。


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